「嘘」とどう向き合うか。経営者に必要な「夢を見る心」と「冷徹なリアリスト」のバランス
世の中には、本当に多種多様な人間がいます。
ビジネスをしていると、時には「嘘」をつかれることもあります。
約束したはずなのに守られない。期待していたのに裏切られる。
その時のショックや怒り、そして何より「傷つく心」は、痛いほどよく分かります。
私も小さいながら会社を経営してきて、そんな経験は一度や二度ではありません。
きっと、同じような経験をし、悔しい想いに駆られた方もいらっしゃることでしょう。
しかし、ある一冊の本を読んで、少し視点が変わりました。
今日は、ビジネスにおける「嘘」との向き合い方と、経営者が持つべきバランス感覚について書きたいと思います。
その嘘は「悪意」ではなく「病気」かもしれない
読んだ本は、『虚言癖、嘘つきは病気か Dr.林のこころと脳の相談室特別編』です。
この本によると、病的な嘘をつく人間(虚言癖)は、単に「性格が悪い」というよりも、パーソナリティ障害という「病気」の可能性があるとのことです。
虚言癖と関連する3つのパーソナリティ障害
① 自己愛性パーソナリティ障害
- 自分の価値を過大評価し、特権意識を持っている。
- 過剰な賞賛を求め、自分の利益のために巧みに人を利用する。
- 共感性が欠如しており、嫉妬深く、傲慢な態度をとる。
② 演技性パーソナリティ障害
- 常に注目の的でいないと気が済まない。
- 大袈裟で中身のない話し方や、芝居がかった態度をとる。
- 自分をドラマチックに見せる過程で、虚言が多く生まれていく。
③ 境界性パーソナリティ障害
- 見捨てられ不安が強く、相手にしがみつく。
- 相手を激しく理想化したかと思えば、突然こき下ろす(理想化と脱価値化)。
- 感情が不安定で、慢性的な虚無感を抱えている。
「人を憎まず、罪を憎む」という視点
もし、想像もつかないような嘘をつかれた時、相手を「極悪人」だと決めつけて怒り狂ったり、人間不信に陥って落ち込んだりする必要はありません。
なぜなら、相手は「病気」の可能性があるからです。
好き好んで病気になる人はいません。その方の人生のどこかで、何か耐え難いことがあり、その防衛本能として「病的な嘘」をつく人格が形成されてしまったのかもしれません。
そう一歩引いて考えると、「人を憎まず、罪(病状としての嘘)を憎む」という境地に近づけます。
病気の人を責めても解決しません。むしろ、「そういう傾向がある人なんだ」と理解しておくことで、無用なトラブルに巻き込まれることを防げます。
経営者に必要な「夢」と「リアリスト」のバランス
私は経営者として、性善説を信じたいと思っています。
人は信じたいし、夢も見たい。どんな人にも素晴らしい可能性があると信じています。
しかし、それだけでは会社を守れません。
経営者には、冷徹なまでの「リアリスト(現実主義者)」としての一面も絶対に必要です。
どんなに素晴らしい夢物語を語られても、どんなに魅力的な投資話を持ちかけられても、
「事実はどこにあるか?」「リスクは何か?」を見極めるバランス能力がなければ、会社や社員を危険に晒してしまいます。
周囲を見渡せば、詐欺師に騙されて何千万円もの損失を出した話や、甘い投資話に乗って失敗した話は、残念ながら年に何度も耳にします。
「信じる力」と「疑う力(検証する力)」。この両輪があって初めて、健全な経営が成り立つのだと自戒しています。
それでも、私は「人」が好きだ
嘘や裏切りといった世の中の不条理を知った上で、それでも私は「人が大好き」です。
だからこそ、「人材紹介事業」をライフワークとして続けています。
弊社の「低価格人材紹介」は、もちろん会社として利益が出る体制にはしていますが、この事業で大儲けをしてやろうとは微塵も思っていません。
人の可能性を信じ、良いご縁を繋ぎたい。
世の中には嘘をつく人もいるけれど、それ以上に誠実で素晴らしい人もたくさんいる。
リアリストとしての目を持ちつつ、根底にある「人間愛」は失わずに、これからもこの事業を通じて社会に貢献していきたいと思います。